2015年11月開催

2015/11/08

2015年11月1日に臨床研修会月例会を開催しました。

[基礎科]
善木先生が「要穴・補瀉・虚実」について、講義を行いました。
要穴とは五行穴・五要穴の総称です。それぞれの穴の特性についての説明がありました。
また、補瀉・虚実については、臨床における用い方を中心に話がありました。

実技では、受講生が2人ペアとなり、各々脈診し、証をたてて、本治法のみ行いました。
普段使用しているステンレス鍼とは異なり、良くしなる銀鍼の扱いに戸惑う受講生もおりました。
実技のみならず、普段から多くの方の脈を診ていただきたいです。

[臨床科]
川幡先生による「肝炎」の講義を行いました。

肝臓は人体で最も大きな臓器です。また、知覚神経が無く沈黙の臓器といわれています。
肝臓の主な働きは、代謝、解毒、胆汁分泌です。
肝臓疾患の内ウイルス性のものは「肝炎」、それ以外の原因による肝臓疾患は「肝障害」と呼ばれています。

鍼灸として
「肝は血を蔵す」
「肝の陰気は血を集め、肝の陽気は全身に血を発散する」
といった特徴があります。

肝臓疾患の鍼灸治療は、肝の蔵の瘀血の改善になります。
証は肝虚証が中心ですが、場合によってはその他の証で治療する事もあります。

臓病の脈は臓の内熱と脾胃が傷れている状態を示しています。
治療により脈状が改善されると肝の病状が改善し、全身倦怠感が軽くなります。
また、それに加えて脾胃の状態が良くなり腹部の不快感が減少します。

鍼灸は長い年月をかけて培われた技術と経験の詰まった医術です。
しかし、ウイルス性肝炎の場合は鍼灸治療でウイルスを取り除く事は出来ません。

肝炎の場合は慢性肝炎から肝硬変そして肝癌に移行していきます。
肝臓の血流を良くする事でそれらの進行を遅らせる事には、大きく役立ちます。

病院の治療と兼ねて鍼灸治療を行う事が治癒への近道になります。

実技では、肝虚証(臓腑病証)の方をモデルに、川幡先生が治療しながら説明しました。
患者役の方も、本治法・標治法を行った時点で、随分楽になったとのことです。
受講生も脈の変化を感じ、患者役の方の生の声を聞いて、大変勉強になったようです。
今後の治療に生かしていただきたいです。